ドラマレビュー

韓ドラレポ「ミセン-未生-」視聴感想

おすすめ度 ★★★

全ての世代の共感を呼び、社会現象を巻き起こした感動のヒューマンドラマ!
2014年の韓国でコンテンツパワー指数ランキングの2位に輝き、社会現象を起こした一作。
視聴率も回を追うごとに上がり、最終話ではケーブルテレビ歴代視聴率第2位の10.3%を記録。
百想芸術大賞男性最優秀演技賞、男性新人演技賞、演出賞の主要3部門、ケーブルテレビ放送大賞では大賞を始め主要部門を独占。

作品情報

  • タイトル:ミセン-未生-
  • 原題:미생
  • 放送:2014年10月17日〜12月20日 全20話
  • 原作:ユン・テホ/未生~ミセン
  • 脚本:チョン・ユンジョン
  • 演出:キム・ウォンソク

出演

  • イム・シワン▶︎チャン・グレ
  • イ・ソンミン▶︎ オ・サンシク
  • カン・ソラ▶︎アン・ヨンイ
  • カン・ハヌル▶︎チャン・ベッキ
  • ピョン・ヨハン▶︎ハン・ソンニョル
  • キム・デミョン▶︎キム・ドンシク
  • シン・ウンジョン▶︎ソン・ジヨン
  • パク・ヘジュン▶︎チョン・グァヌン

相関図

BS朝日より

あらすじ

幼い頃から棋士を目指していたチャン・グレ(イム・シワン)は、父の他界を機にその道をあきらめ、大学にも行けず、26歳になってもバイトにあけくれていた。しかし母の伝手で、大手総合商社にインターンとして入社。満足に会社員経験も学歴もないグレはコピーの取り方すらわからず、遅れをとっていたが、同期とチームを組んでのプレゼン発表で合格点を獲得。なんとか2年間の契約社員として入社し、営業3課に配属される。やがて囲碁で培った洞察力を生かして仕事でも微力ながらも課の役に立つようになり、次第に配属先の営業3課のオ課長(イ・ソンミン)やキム代理(キム・デミョン)に認められ、課にはチームワークが生まれつつあった。一方、グレの同期入社の紅一点、アン・ヨンイ(カン・ソラ)はインターンながらも大きな契約を取り付ける優秀な人材だったが、入社後配属された資源課では、男性上司から疎まれ、なかなかまともな仕事を与えられずにいた。

(公式サイト より)

予告

ネタバレ感想

このドラマ、社会人として世の中で働く全ての人が一度は必ず見た方が良いドラマです!!!名作と言われているだけあってかなり見応えあります。
イム・シワン演じるグレを中心に、上司や同僚、家族もしっかり描かれ、世の中で働く様々な人たちを描き、誰が見ても必ず共感できるところがあるドラマになっています。
非正規雇用、パワハラ、セクハラ、モラハラ、社内の人事抗争、社内派閥、ワーキングマザーなどなど、日本でも関心のある話題が毎回のテーマとなっていてとても興味深かったです。
私自身OLやサラリーマンとは違った職種なのでドラマに出てくる商社マンの用語などは難しく理解できない言葉が多々ありましたが、仕事をしてる上で共感できることはたくさんありました。サラリーマンたちの奮闘を見ながらオフィス体験しているようでその点で見ても楽しめました。

タイトルの「ミセン」とは囲碁の用語で、碁盤上にある石が完全には生かされていない状態のことを指します。
しかし、完全に使えなくなってしまった石とは異なり、ミセン(未生)の石は進め方次第で”ワンセン(完生)=完全に生かされている状態”になる可能性を含んでいます。
「俺たちはまだミセンだ」というサンシクのセリフがあるんですが、上司である彼らたちもミセンだったんだと、本作のテーマを改めて再確認させられました。

演じる俳優たちの演技や表情がとてもうまく、臨場感や人間らしさが伝わってきてリアリティが増していました。
主人公のグレは、囲碁だけが取り柄で幼い頃からプロ棋士を目指しており、囲碁の世界では神童と呼ばれていました。父親が他界しその夢も途絶え、コネで大企業に入り非正規社員として社会に出ることになります。
学歴社会の韓国では、最終学歴が高卒認定検定試験合格のグレがいくら頑張っても、正社員への道は閉ざされ、見てて心がヒリヒリしました。

表情も服装も 歩く方向も同じ

僕とは正反対の人々

学生にも社会人にもなったことがなかった

なりたくても 現実は冷たかった

結局 今も 僕だけ歩く方向が違っていた

会社でも僕は一人だったのだ

そして みんなが知ってることを

僕だけ知らなかった

僕には いつ身につくのだろうか

ドラマ第2話

この部分のグレの独白シーンほんとに辛かった、、、
それでも小さいころから囲碁の世界で生きてきたグレならではの洞察力や情報処理能力を使い、コツコツ努力しとにかくひたむきな彼を見ていて胸を打たれましたし、応援したくなりました。
グレの役はもうイム・シワンでしか考えられないというぐらいハマり役でした!

そしてグレの同期3人もそれぞれが葛藤を抱え最初は競争相手でしたが、少しずつ強い友情で結ばれるようになっていく彼らが素敵でした。

男ばかりの会社の中で紅一点のアン・ヨンイ、登場シーンが圧倒的に美しかったです。
正社員になって、女性として悔しい思いや理不尽な出来事の数々・・・そんな待遇にも耐えながら黙々と戦う彼女の強さにも心を打たれました。

コネで入ったグレをあまり良く思わないチャン・ベッキ、正社員になったものの思い描いていた姿と違う自分に焦り、契約社員のグレが活躍すればするほど焦ります。
プライドの塊の彼ですが、徐々に穏やかになっていき成長していく姿とても良かったです。

お調子者だが心は暖かいハン・ソンニョル、彼がいたからこのドラマは少し明るくなったんだと思います。
初めはヘラヘラしすぎていると思っていたんですが、気付けばその明るさに救われていたんです。
ヘラヘラしているように見えて、たくさん苦しみ戦いもがいていました。
そして同期4人の中だと彼が一番人間味があったキャラクターなのかもしれません。

グレが属する営業3課の上司オ課長、彼もこのドラマの主役と言っても過言ではないぐらい抜群の存在感でした。
仕事熱心で、部署や会社全体のことを冷静に見つめることができ、情に厚い素晴らしい人でしたね。
人間味が溢れていて、人を大切にする彼の仕事スタイル、カッコよかったです。

第7話でサンシクがカメラ目線で「お前たちに酒の味が分かるか?」と言ったシーンなんですが、ドラマではあり得ない真正面のカメラ目線で、まるで視聴者に向かって問いかけるようでかなり印象的でした。悔しさや辛さが凝縮されていて、グッときました。
気に入らない人に対して足を引っかけるシーンは面白かったなぁ。スカッとしました笑

同じくグレの上司のキム代理もとても良かったです!
頼れて優しくて、私もこんな上司がいる下で働きたいと思いました。
営業3課での全ての出来事が印象深かったです!特に屋上で三人で腐った牛乳を飲むシーン、バカバカしいですが、年齢も立場もバラバラなのにそんなことを一緒にできる仲間がいるということが素敵だと思えました。

他にもたくさんのキャラクターが出てくるんですが、全ての登場キャラに深いドラマがあり説得力がありました。
どの課も個性的な上司たちばかりで、個人的にその下で働きたい上司(代理)は、ダントツで鉄鋼課のカン代理です!!!
カン代理が言う「また明日」がとても好き!

最終回、カッコよかったしそこがドラマの冒頭のシーンに繋がるわけなんですが、いきなり違うドラマになったのかと勘違いしてしまうぐらい、“アクション俳優イム・シワン”が登場します笑
カッコよかったですけどね!笑
その最終話の最後の部分のグレの独白がとても良かったので記録させてください。

“道”とは歩むのではなく 前へ進むためのものだ

前へ進めない道は道ではない

誰にでも道は開かれるが 全員が持てるわけではない

再び“道”だ

僕は一人じゃない

ドラマ最終話

このドラマで何度か出てくる“道”というキーワードですが、このドラマを通じて“耐える”ということの大切さを痛感しました。

他にも、とにかく頑張って生きている私たちの心に響く名言がいっぱいあるんです!
印象に残ったセリフ↓

一生懸命でなかっただけだ 僕は手を抜いたから捨てられたんだ そうじゃないとつらすぎる

ドラマ第1話

とにかく踏ん張れ 踏ん張った者が勝つ 俺たちはまだミセンだ

ドラマ第4話

何かを成し遂げたいならまず体力をつけろ

勝ちたければ体を作れ 自分の悩みに耐えられる体を

体力なくして精神力は発揮できない

ドラマ第8話

他の人が派手に見えるのは気にするな 派手じゃなくても必要なことをすることが大切

ドラマ第13話

さいごに。

完走し終わった後の爽快感・満足感が凄い!
ドラマに入り込み、自分もワン社の仲間になった気分で彼らと共に笑い、喜び、悲しみ、悔しい気持ちに共感していたからでしょう。
見終わったあとに「良いものを観たなぁ」と思えたし、これからも心に残り続けるドラマになると思います!

「マイディアミスター」と同じ監督もあって、ドラマの描き方がとても丁寧なのに納得しました。

ABOUT ME
Natsu
小学生のころに韓ドラにハマり、そのまま15年以上韓ドラを追いかけ続けている淑女です。