ドラマレビュー

韓ドラレポ「私たちのブルース」視聴感想

おすすめ度 ★★★★★

作品情報

  • タイトル:私たちのブルース
  • 原題:우리들의 블루스
  • 放送:2022年4月6日〜6月12日 全20話
  • 脚本:ノ・ヒギョン
  • 演出:キム・ギュテ

出演

  • イ・ビョンホン▶︎イ・ドンソク
  • シン・ミナ▶︎ミン・ソナ
  • チャ・スンウォン▶︎チェ・ハンス
  • イ・ジョンウン▶︎チョン・ウニ
  • ハン・ジミン▶︎イ・ヨンオク
  • キム・ウビン▶︎パク・ジョンジュン
  • オム・ジョンファ▶︎コ・ミラン
  • キム・ヘジャ▶︎カン・オクドン
  • コ・ドゥシム▶︎ヒョン・チュニ
  • キ・ソユ▶︎ソン・ウンギ
  • パク・ジファン▶︎チョン・イングォン
  • チェ・ヨンジュン▶︎パン・ホシク
  • ペ・ヒョンソン▶︎チョン・ヒョン
  • ノ・ユンソ▶︎パン・ヨンジュ

あらすじ

恋は甘く切なく、人生は楽あれば苦あり。いつもにぎやかな済州島を舞台に、この島で生きる人たちが織りなすさまざまな物語をオムニバス形式で描く。

(Netflix より)

予告

ネタバレ感想

やっぱ田舎を舞台にした作品好きだなぁ〜。(「椿の花咲く頃」「海街チャチャチャ」などもね)
今作では済州島を舞台に、田舎ならではの描写として過干渉や閉塞感、そして時には家族以上の強い結束力を持つ住民たちの姿が多く描かれていました。
ポスター写真を見ていただけるとお分かりいただけるように、あまりにも豪華すぎるキャストに、さすがとしか言いようがない俳優たちの演技力、美しい映像、素晴らしい脚本、改めて韓ドラって最高だなと気付かされる作品になりました。
済州に住む人たちの物語をオムニバス形式で進めていき、構成としては全体が繋がっていて、全員が主役だし時には脇役にもなり、最後にはちゃんと一つのストーリーがまとまるという。他の話も進みながら毎話の中心人物たちの物語を進めていく手法がお見事すぎる脚本!
同時期に放送されていた「私の解放日誌」がキャラクターの誰かを自分の人生に重ねるような作品だとしたら、今作「私たちのブルース」はキャラクターたちの人生に寄り添うような作品となっていました。どちらも素晴らしい作品です。

【ハンスとウニ】

この回が最初に来た時、二人の初恋エピソードとハンスの気持ちに共感できず正直なかなか進まなかったんです。
せっかくの甘酸っぱい青春がお金の話で全て台無し…ウニはやりきれない気持ちで辛かっただろうなぁと思ったり、ハンスも決してウニを大事にしていないわけではないですが、シビアな現実が奪ってしまう大切な思い出たちに絶妙な苦しさと温かさなどが混じり合って複雑な気持ちになりました。
でも最後は夫婦仲が悪そうに見えたハンスが空港で家族と抱き合ってて幸せな未来が見えて良かったです。
ハンスには共感できませんでしたが、演じていたチャ・スンウォンは大好きなのでep1〜3のあとは最終回のみの出演で、出演シーンが少なかったの寂しかったなぁ。

【ヨンジュとヒョン】【イングォンとホシク】

高校生カップルの妊娠と、それをきっかけに明らかになる二人の父親の因縁までの合わせ技がすごい!
オムニバスだからこそあそこまで深く描けるストーリーだったと思います。
将来有望な高校生二人に突然突きつけられた現実、島の閉塞感が嫌で早くソウルに行きたいと願うヨンジュ、島特有の雰囲気が返って誰にも相談しづらい環境になってしまっていました。
“母親の代わり”はたくさんいても本当の母親がいない二人が感じる不安や恐怖、それでも子供でありながらも”大人”になろうと、困難な状況でも折れずに二人で幸せを探す姿に胸を打たれました。

イングォンとホシク、父親としての夢を持ち、子育てひと段落目前に起きた出来事に葛藤する姿がなんとも言えませんでした。
二人の不仲の経緯も、ただただ愚直なまでの子への想いに泣かされました。二人とも不器用すぎるんですよねぇ。それでもヨンジュとヒョンをあんなに優しくて良い子に育てあげたアッパたちは偉大!
視聴する側も悶々としたり共に涙したりデリケートな回でしたが、そばで寄り添ってくれる存在の大切さ、偉大な父の背中を凄く感じれる回でした。
そして18話のヨンジュ出産時のアッパ二人がもう可愛すぎてもはや愛おしかったです(≧∇≦)
めっちゃ微笑ましいハラボジになりそうなのでスピンオフが見たいですね笑

【ドンソクとソナ】

ソナの事が心配で仕方ないドンソクの不器用で無骨な優しさが良かったです。
ソナを海で叫ばせてくれて背を向けながらドンソクが歩いていくシーン、めちゃくちゃ大人でかっこいいオッパだなと思いました。
誰にも理解されない思いを何十年も抱えてきたドンソクが、電話でソナと話す時だけは柔らかく優しい表情になっていて、そしてそんな彼に寄り添いながら背中を押してあげるソナ、お互いを支え合う関係性が素敵でした。
ドンソクのおかげでソナは前を向けて、ソナのおかげでドンソクも前を向けて、幸せに向かって歩き出す二人応援したくなります。

【ヨンオクとジョンジュン、そしてヨンヒ】

ヨンオクが抱えてるものを全て受け取るジョンジュン、そして周囲の人たちへの気遣いや優しさなど、間違いなくあの街で一番素敵な男性だろぉぉぉ!キム・ウビンの広い背中大好きです❤︎
ヨンオクとジョンジュンの仲が進展すると共に、ヨンオクが隠していたダウン症の双子の姉の存在に焦点が当たっていきます。かなり踏み込んだエピソードだなという印象でした。
ヨンヒの絵が上手くなった理由が、ヨンオクに会いたい寂しさ故だったことを知ってしまうラストシーン、ヨンヒの絵を前に泣き崩れるヨンオクの姿に嗚咽レベルで泣きました。愛が詰まりすぎてる…。

【ミランとウニ】

この二人の関係が一番苦いですね。
嫉妬と劣等感、無邪気と無神経、”親友”って言葉にするのは簡単ですが、楽しい事ばかりではないのがリアル。
どっちの気持ちも分かりますが、本当の気持ちなんて誰にも分からないからこそちゃんと言葉にすることって大切なんだと改めて思わされました。
この回と最初の回だけでなくウニは全話を通して頻繁に登場するのを見てると、常に島の人たちを見守り気にかける大きな存在でした!

【チュニとウンギ】

ウンギが可愛すぎて癒されるし、チュニさんとのやりとりは可愛くてほっこりするし、ウンギのことを街のみんなで大事にしてくれるのほのぼのしました。
チュニさんの堪えてたものが溢れて泣くシーン、胸が苦しくなりました。
みんなの祈りと悲しみが込められた100個の月は美し過ぎて心が温かくなりました。
この回に限らずですが、感情がジェットコースター。
ウンギを演じたソユちゃん、5歳とは思えないほど素晴らしい演技でした!

【オクドンとドンソク】

19話のラストの約一分の予告ですら泣いてました。
序盤から少しずつ挟まれていた不器用な母子のエピソードをラストに持ってきたところにこのドラマの一番伝えたいことがあるんだと思います。
人間が持ってる良いところ、悪いところ、全てが表現されていました。
もう二人とも本当の親子にしか見えなかったです。期待と失望を繰り返しながら心を通わせていく様子は圧巻。
それにしてもイ・ビョンホン、「韓流四天王」と呼ばれていたあの頃からいまだに第一線で活躍してるのすごいですよね。
いい年して母親に反発する姿、格好悪いし最上級に頑固ですが、垣間見える優しさで全然憎めない。その荒削りなかんじにむしろ人間らしさがあってあったかくて泣けます。
最後はドンソクの凍った心が溶け、本当は仲直りがしたかったという優しくて情に厚い姿に感涙。トップ俳優ですがいい意味でそのオーラを消せる演技力がほんとに素晴らしい。
そして大女優キム・ヘジャ、あの纏っている空気感がすごすぎませんか。
セリフは多くないですが全てを目だけで語らせる繊細な演技、いろんな感情が込められててすごすぎました。
不器用すぎる親子が最後に辿り着いたお互いの愛、それを体現してくれたラストの回は途中映画を見てるような感覚になりました。それぐらい二人の表現力が本当に素晴らしかったです。

どの回も大事すぎてそれぞれのエピソードごとにまとめさせていただきました。
ラストの物語を彩ったプルン村メンバー全員集合の大運動会、込み上げるものがありました。いつまでも見ていたいなぁと強く思いました。
登場人物たちを順に映していくエンディングでこのドラマが好きだった理由にまた気付かされました…彼らあっての私たちのブルース。最後の一文も沁みました。
みんなお節介で短気で騒がしいですが、ぶつかってもすれ違っても最終的には許し合って認め合う、全員が主人公でした!
高品質で骨太なドラマ「私たちのブルース」!ありがとう!!!

OST

  • ジミンXハ・ソンウン – With you
ABOUT ME
Natsu
小学生のころに韓ドラにハマり、そのまま15年以上韓ドラを追いかけ続けている淑女です。