ドラマレビュー

韓ドラレポ「君は私の春」視聴感想

おすすめ度 ★★★

作品情報

  • タイトル:君は私の春
  • 原題:너는 나의 봄
  • 放送:2021年7月5日〜8月24日 全16話
  • 脚本:イ・ミナ
  • 演出:チョン・ジヒョン

出演

  • キム・ドンウク▶︎チュ・ヨンド
  • ソ・ヒョンジン▶︎ カン・ダジョン
  • ユン・パク▶︎チェ・ジュン
  • ナム・ギュリ▶︎アン・ガヨン

あらすじ

それぞれに幼少期のトラウマを抱えるホテルのコンシェルジュと、精神科医。謎めいた殺人事件に巻き込まれた2人の間に、やがて温かなきずなが芽生え始める。

(Netflix より)

ネタバレ感想

序盤は主人公の二人が子供の頃に抱えたトラウマだったり、殺人事件が起こったり、テンポ良くストーリーが進んでいきサスペンス部分にはとても惹かれました。
でもその前半のサスペンス強めな感じが、いつの間にかロマンスが強めになっていって、前半の緊迫感はどこへ?という感じでした。ロマンスとサスペンスのバランスがうまくいってなかったような、、、(上から目線ですいません)
サスペンス部分の終わり方がなんだかスッキリせず、スタートが良かっただけに少し残念でした。

ラブストーリーの部分はとても素敵でした!
二人ののんびり、ほんわかした空気感が合っていて、会話や雰囲気を見ていて心地がよかったです。
ヨンドの「チョロン」とダジョンの「ホル」という口癖が可愛くて好き!二人が私の“春”でした♪

その男の記憶法」を視聴した時も思ったんですが、キム・ドンウクの落ち着いたトーンが落ち着くんですよね。
精神科医の設定ということもあり、言葉の言い回しや声のトーンが穏やかで癒され、カウンセリング的効果が高かったです。
そんなヨンドも人の心の傷を治す立場ながら、実は自らも心に蓋をした深い傷を負っていて、ダジョンが当時のヨンドとヨンド母に言葉をかけてヨンドの心を軽くするシーンとても印象的でした。
恋愛では専門医ならではの洞察力や自制心を出すかと思いきや、不器用な一面が可愛かったです。

ソ・ヒョンジンの自然すぎる演技が素晴らしい!
本来寒くなるはずのセリフが、ソ・ヒョンジンが演じることでいいセリフに思えてきます笑
子供の頃の話をするときの演技は見ていてこちらまで苦しくなってしまうほどうまかったです。

ユン・パク個人的にすごく好きな役者さん!
今作も雰囲気があってとても良かったです。序盤のソシオパス感はすごい存在感!
ただ演じたイアンとジュンのキャラクターがかなり複雑で、、、
もはや2人は1人という”チェ・ジョンミン”という存在で、ジュンが実は早い段階からダジョンにSOSを出していたと考えると、とてもやるせなかったです。

また、「助けが必要なら、助けます」というヨンドとダジョンの言葉を思い出したイアン。
結局イアンもジュンと同じように助けを求めているという状況が、とても不憫に感じました。
ラストのイアンのちゃんとした着地点がなく、主人公二人の幸せな姿はほっこりするんですが、イアンとジュンの存在があった分、二人の幸せなシーンが増すたびにその落差を感じてしまいました。
イアンがしっかり救われる展開にして欲しかったなぁ!

他にもいろんカップルの色んな愛の形の描き方は見ていてほっこりしました!
特にアン・ガヨンのキャラクターがすごく魅力的に感じました。
登場時とは印象が全然違い、どんどん彼女を好きになっていきました。
独特の演技で可愛い変人を演じていましたが、要所要所で流れを作っていたのは彼女でしょう。
お高くとまってますが愛に溢れていた素敵なキャラクターでした。

おそらくこのドラマで一番大事なのは、サスペンスでもなく、ロマンスでもなく、誰もが持っている闇や心の傷に思いやりの言葉で癒したり慰めたりするヒーリング部分です。
傷ついた人たちが恋愛をすることで変わっていくという点は「大丈夫、愛だ」や「サイコだけど大丈夫」と通ずるものがありました。

ドラマ全体を通しては人との接し方についてなども勉強になりました。
作品に込められたメッセージが温かく、主人公二人の会話やセリフがとても丁寧で心に沁みる言葉もたくさんあったのでいくつかご紹介します。

本当に元気そうな人に「元気か?」とは聞きません

なにかありそうな人に「元気か?」と聞いたとき

「元気」と答えるのは 前向きに考えようと頑張っているということで

「大丈夫」は 答える気力もないからほっといてくれということ

「まあまあ」は 悪いことは起きているけど あなたには説明したくないという意味なんです

ドラマ第二話

なるほど~~~と思いました。一家に一人チュ・ヨンド欲しいなぁ。

心が傷ついたというのは比喩ではありません

傷が目に見えないだけで 本当に外傷を負っているんです

問題は患者である本人も それを知らないということです

血が出ないから

この方は交通事故に例えると

全身の骨が折れた状態なのに

「今すぐ起きて歩け、なんで寝てるんだ?」

そうは言えないですよね

一日一日耐えているだけでも

十分頑張っているんです

ドラマ第三話

みんな日々耐えてるだけで充分にがんばってるんだということが伝わってきました。

自分の決断は正しかったと言われたいのは

自分が間違ったと思っているから

500回言ってと頼むのは

500回考えても自分は間違ったと思ってるから

ドラマ第六話

自分を信じ切れず、誰かに背中を押してもらいたいときって誰にでもありますよね、、、。

目の前が真っ暗で全てを終わらせたい人には

光が一つ見えるだけで 見守られているだけで 指先に少し触れるだけで

十分なんです

ドラマ最終話

今ある状況から逃げ出したいという生きていたら誰しもが一度は経験することですが、そんな時、一言だけで、少しの気遣いだけで、救える人がいる、救える命があるということを教えてくれた言葉でした。
最終回の知らない人同士の温かさが連鎖していくシーンとても素敵でした。
周りにいる大切な人にはもちろん、誰に対してもその人にとって救いになるような、光を与えられるような人間になりたいと思いました。

「人は一人で困難に立ち向かおうとすると

かえって傷が深くなったり 折れてしまう

でも 共に進むことができる人 心の拠り所となるような人

そんな人がいるだけで 何気ない日々の瞬間さえも

かけがえのなく 大切に感じることができる

ドラマ最終話

一人で抱え込んで苦しむ人に向けたメッセージが時代に合っていると思いました。
誰かに出会うことで自分の考え方などが大きく変わることがあるかもしれません。
“春”はいつ、どこにあるのか、誰にも分かりません。いろんな過去を持った、トラウマを持った人が助け合って笑える世界になれたらいいなぁ。

さいごに。

みかんと水漏れの部分、なにかの伏線かと思っていたから最後まで見て結局特になんの意味もなかったのがちょっとがっかりでした。
キャストやセリフ、ostも良かったし、あとは前半のスタートがかなり良かっただけに(まだ言うよ)もったいなさが残ってしまいました。

とはいえ、レポの出だしからちょくちょく不満点を書いてしまいましたが、それを差し引いても魅力的なキャラが織りなすヒューマンドラマでしっかり心に残る作品になりました。
万人受けするドラマじゃないかもしれませんが、誰かに深く刺さるドラマだと思います。

『毎日がつらいあなたに優しい(ダジョン)春を。』

ABOUT ME
Natsu
小学生のころに韓ドラにハマり、そのまま15年以上韓ドラを追いかけ続けている淑女です。